索敵フルミッション!
サンプル

沢田綱吉は恋に落ちた。
嘆かわしいことに憧れだった少女への初恋すら清算できないままで、しかも続いて好きになった相手と言うのが元は並盛に喧嘩を売ってきた一癖も二癖もある六道骸だった、と言う体たらく。
あのパイナップル相手に。あのマフィア嫌いな難物相手に。何と言う前途多難だろう。
思い至って、綱吉は別の意味で頭を抱えた。
あんなに可愛くて可憐で優しい少女に想いさえ告げられず、今最も気になる人物ベスト1がよりにもよって骸だなんて、自分で自分が信じられない。
顔が綺麗なのは認めるが、性格は極悪。
良い思い出なんて数えるほどもない。本心から笑った顔なんて、見たこともない。ただ、気になる。
もともと綱吉は面食いな性質である。
クラスの中でも高嶺の花である笹川京子もそうだが、整った獄寺の顔をまじまじと見つめて彼を戸惑わせることもしばしばあった。
自分が平々凡々な容姿に産まれついたからか、造形の優れたものに惹かれてしまうところがあるのは、認める。
けれど骸の場合、単純に美しいからだけではない、気がした。
ムカつくことばっかりの男だけれど、それなら他の誰かでも良いはずだ。いっそ男である必要がない。クロームの方がまだ分かる。
それでも、綱吉の視線が追いかけてしまうのはどうしても六道骸だった。
何故京子ちゃんの次が骸なんだと問いかけたいのだけれど、好きになってしまったものは仕方ない。
我ながら気持ち悪いが、骸の顔を見ると、骸のことを考えると、心臓が正直に高鳴るのだから。
それに気付いた時には自己嫌悪で思わず地べたを転がり回りたくなった。
取り敢えずツッコミ要員として責務を果たすべく「乙女かっつーの!」とセルフでつっこんでもみたものの、余計凹んだ。
そこで「これ何とかしよう」じゃなくて「好きなものは好きだからしょうがない!(名言だなぁこれ)」と思ってしまった自分の思考回路を吟味して、なるほどもう後戻りは出来ないんだなと実感した。
本当に驚くべきことだが、どうやら自分は本気で六道骸に恋をしているらしい。
この想いを自覚して、綱吉は彼と距離を置くことを一度として考えなかった。考えなかった、と言うことが、きっと答えなのだろう。
そして、もちろん、そんなことも見抜けないリボーン先生ではなかったのだ。
彼の先生は教え子の微妙な変化に気付かないほど無能ではなく、彼は先生に気付かれないように隠し事が出来るほど、有能ではなかった。
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