Cool or hot
(日乱好きさんに一文字5のお題「色」)








「さむ……」
 窓から顔を出して空を見上げていると、ぴりぴりと刺すように肌に刺激を感じる。
 口元へと手をやって暖かい息を吹きかけると、空中に白く呼気が飛んだ。
 灰色の空を良く見れば、白く細かいものが無数に落ちてくる。
「雪、ねぇ。寒いはずだわ」
 そろそろ日も落ちてだんだんと冷え込んでくる時刻である。
 こうして曇天を見上げていると、世界中が真っ暗になってしまったかに感じられ少々胸に痛い。
 その中で降り来る白い雪はどこか灯った光のようで、まるで彼のようだと思う。
 冷たく、けれど真っ白で清廉で柔らかい――。
 そっと微笑むと同時に、ぱたりと目の前の窓が閉じられた。
 ハッとして見上げる。
「寒いんなら閉めとけよ」
 いつも通り気難しそうに眉を八の字に顰めて、今想ったばかりの彼女のたった一人の人、日番谷が立っていた。
「隊長」
 呼ぶと、彼は素っ気ない仕草で手を手前に払ってみせる。
「そんなに寒いなら茶でも淹れておけ」
 て言うかその格好から何とかしちゃどうだ?
 憎まれ口を叩きながら、松本の隣へと腰を下ろす。
 遠回しに茶をご所望ということらしい。
 しかし茶を淹れに席を立って気付いた。
 湯を温めしゅんしゅんと熱される湯気に、だんだんと温まる身体。
 一人で見上げた冷たい空から、いざなわれた暖かい場所。
 ああ――こういう人だった。
 冷えた空気に強張った体が、柔らかくなる。
 それはきっと、湯気の暖かさの所為だけではなくて。

「……隊長」
 日番谷の隣へ戻って湯飲みを置いてから、名前を呼ぶ。
「何だ」
 答える声は飽くまでも淡々としていた。それでも、たった一つしか選べないと言われれば迷わずこの声を選ぶだろう。
「あたしね、寒いのも……結構好きですよ。だってほら、そのぶん隊長が暖かいって分かるじゃないですか」
 ほんの少しだけ触れる腕と、心遣い。
 あることを知っていても大袈裟に主張されない、それ。
 肌に感じた冷たさの分だけ、守るような包むような優しい気配と、心を感じるから。
「ね?」
 微笑んでみせると、日番谷は僅かに眉を顰めてこちらを見てから、心持ち唇を持ち上げて笑った。
「……そうか」
 例えば眼差しや笑みを向けられただけで、この心は自然に温かくなってしまう。
「そうです!」
 だから明日も明後日も、この先もずっとずっと、あなたの隣で。





ende





 季節外れでごめんなさい(汗)。
 十番隊EDの衝撃から立ち直る為にリハビリとして書いた日乱話ですが、テーマが丁度合っていたのでおこがましい話ではありますが、アンジェさんにお礼として差し上げましたーv
 何と言いますか、冬=雪=日番谷くんなんです、乱菊さんの中では。
 で、日番谷くんて素っ気ないけど優しいから、だから、雪も冬も寒いのも好きなんです。
 って感じのお話(ワケわかめ)。


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