さくらcircle

それはある春の日のこと。
はら、と一枚の花弁が、日差しを入れる為に開けていた窓から入り込んで来て、日番谷の机の上を滑った。
自らの背から不意を付いて視界に入ったそれを、思わずまじまじと注視する。
儚げに淡く白い薄紅の花弁。
――桜、だった。
そういえば、そんな季節なのだ。
傷のないそれに手を伸ばし、そっと摘まんでみた。
花弁はしっとりと柔らかい。
雪も氷も融け、むくむくと花開かせて、その存在を知らせにここまで降りてきた花。
――まるで、さあ今こそ春だ、と告げるように。
「春だな……」
小さく呟くと、書類の整理をしていた副官が耳聡く顔を上げ、頬を綻ばせる。
「桜ですか。雅ですね」
心まで暖かくなりそうな声だった。
こんな小さなことで嬉しくなる、一緒に嬉しくなれる女。
そんな、何でもない幸せを噛みしめて、日番谷は唇の端を僅かに上げる。
そしてハッとしたように表情を改めた。
春は何だか色々なことを感じ易い。自らの思ったことが気恥ずかしくて、一つ咳払いをする。
「いつの間にかそんな時期か。……そうだな、弁当でも持って、花見するか」
表紙・裏表紙と、サンプルテキスト(1ページ目)。
タイトル発表しちゃったので白状しますと、「さくらcircle」は桜の樹の下で円陣組んで花見をすることに語呂を合わせたとんちの効いたタイトルで、これを決めた時に表紙では絶対タイトル文字で円を作ろうと決めていました。
それもあって、全体的にピンクいイメージで狙って(笑)。
ぶっちゃけ絵はどうでも、フォントと文字デザインには力を入れてあるので気に入っている……のですが、印刷した紙の色があれなのか白い部分が青っぽくなってしまってちょっと残念です。
お手数ですがブラウザバックでお戻り下さい。